瑠璃は、そんな風に言いながら黙々と金魚の水槽の温度をチェックする。



真夏の昼下がり。

蝉の声に背中を押されながら歩いて行くと学校の裏側にある、あのプールの前に差し掛かった。

そう…

2週間ほど前に、何気なく飛び込んで…貧血を起こして溺れかけた。

白いフェンス越し…プールの水面がキラキラ光る。

私はまた引き寄せられるかのように、プールサイドに足を踏み入れた。


死にたかった…訳じゃない。


ただ……何もかも消したい気持ちになったのは本当…。


「また溺れる気かっ!」

聞き覚えのある声に私はハッと振り返る。

「………あっ………。」

「もう、助けねぇからなっ。」

「 ……広斗…君?」

「(笑)ははっ。何で俺の名前、知ってんの?」

「あの…その…勝手にごめんなさい。
この前、そう呼ばれるの聞いちゃって…。」

「全然っ(笑)それは構わないんだけどさっ。もう、飛び込むのだけは勘弁してくれるっ!」


う…うそ…もしかして…

そう…そうだ、思い出した。