一瞬だけ……目に映った瑠璃の部屋。



何も変わりばえのない…特別じゃない…男の子の部屋。

なのに…

何だろう……この違和感。



でも、焼き上がった食パンの耳の角を「熱っ!!」なんて言って手放してしまった瑠璃にそんなことはどうでもよくなった。

「あーーーーっ! 落としたぁー!!」

「うわぁーーーーっ!3秒っ」

瑠璃は床に落ちたパンの耳の角を持って、ぴょこんとお皿に戻す。

「食べるんかぁーーーーいっ(笑)」

床に散らばったパン屑を二人で片付けていたら…そんな違和感のことなんて、すっかり忘れてしまっていた。

だって瑠璃といたら…小さな日常の事件も宝物のように思えた。

パンを落としたそんな事件も、瑠璃がなんだか幸せそうに笑うから…

おかしいよね。

とても幸せなことのように感じた。