「……瑠璃のお母さん、びっくりしただろうね。
瑠璃、きっとひどく泣いただろうから…。」

私の目からやっぱりさっきの続きの涙が膨れる。

「菜乃ちゃん。 何か…あった?」

昨日のママとの事が自分をもどかしくさせる。

色々な事を…優しい瑠璃の声に甘えたくなる。

色々な事から逃げたくなる。



左肩に天使の羽根を背負った美少年。


瑠璃は本当に青い世界の妖精?

それとも……羽根を持った天使?



「 金魚占いをしよう…。」

「……えっ……。」

「泣いた顔だと、ちゃんと占えないよ。
だから、真っ直ぐこっちを見て…。」

「 ……うん。」



明日の……私を占って。

明日の私は…まだ…泣いてますか?

瑠璃が見えてる未来を…

教えて。


瑠璃は、握った両手を私の前に突き出す。

「右、左…どっち?」

左肩のケロイドが…胸をきゅんとさせる。
それは、とても苦しい……きゅん。

「 左。」

瑠璃の左手から、ピンク色の金魚のウロコ模様の包紙…。

飴玉金魚が1匹。

「………可愛いっ。 中身は赤い飴玉っ…。」

「今日は、どんな魚と目が合った?」

「今日…この店に入って1番に目が合ったのは…
ぷにょにょと同じっ。
 “ 更紗三ツ尾和金 ” 」

「 なるほど……。(笑)」