「ねぇ……彩香。もし、その話が本当だったら、私、行かなきゃ……。」

「へっ？」

「今……。すぐに……。」

「………はぁ？」


　　瑠璃と広斗に……会いに行かなきゃっ。

　　2人に確かめる……。


「彩香。電話…ありがと。ララと、絶対に来てっ、夜楽祭り。絶対だよっ！」

「何？何？どうしたの？突然…用事？！
緊急…な感じなわけ？」

「うんっ！緊急っ！」

「菜乃……。元気でよかった。本当によかった。」

「うん…彩香、今度失恋ソング歌ってね。
歌って……慰めてよね。」

「もちろん……あっ。
菜乃っ！………圭也のことだけど…。」

慌てて身支度をしかけた手が止まる。

「圭也……。あの後すぐに彼女できて、すぐに別れてた。やっぱり菜乃のことが好きだったって。」

「彩香、圭也に伝えて…私、もう前を向いてるよって。」

私は彩香との電話をどう締め括ったかも覚えてない程…急いで出かける準備をした。

汗ばんだTシャツを脱ぎ捨てて、収納ケースから別のTシャツを引っ張り出す。

サマーカーディガンの片方だけ腕を通して…サイフの入ったバッグを掴んで、部屋を飛び出した。