「菜乃っ。元気ーー?」

「彩香ぁぁーー!元気だよぉ〜。久しぶりだねっ。」

「よかった、元気そうで。ララとずっと、心配してたんだよ。」

「ごめん…。彩香…。」

ララも彩香と同じく東京の友達。

3人、とても仲が良かった…。

渋谷でショッピングをしたり、流行りのスィーツに並んだり、カラオケでずっと恋話したり…。

誰かが恋するたびに盛り上がって…失恋するたびに慰めあったりして…。

私は…2人に失恋と深い傷を癒してもらう前にここに連れて来られた。

たまたまママの離婚が重なって、そうなってしまったんだけど…

だから名字が変わった事も2人に言えず、ここへ来た。

「菜乃、全然…連絡くれないから心配で。
返信もないし、SNSだって全部、止まったまんまだし…。ホントにホントに…心配してたんだよ。」

「ごめん…。彩香……私、2人に嫌われるんじゃないかって思って…。」

「何、言ってんのぉ。」

「だって…私、人として酷いことをしてここへ来た。……だから、嫌われるって。」

「菜乃……ずっと友達だよ。何があっても…離れてても、そうでしょ。」

「彩香……。」

「私たち、そんなに信頼なかったの?」

「違うっ!そんなんじゃなくて……。」

「失恋ソングしか唄ってあげられないけど、一人で傷を抱え込むんじゃないよっ…。もっと甘えて、弱音…吐いてくれてもいいじゃん。」