届かぬ声は今どこへ

『廉くん……!ななが……!』

その声で飛び起きる。

「……またか」

最愛の人の死からそろそろ1年が経とうとしてる。

彼女を忘れたことなんて1回もなかった。

彼女の両親が俺を呼ぶ声が耳からこびりついて離れない。冷たく動かなくなった彼女の綺麗すぎる顔が。

彼女の全ては、まだ俺を支配している。

「れーーーんーーーー」

母さんの声が下から響く。のそのそと起き上がって、制服を着た。その時、かさっと何かが落ちた。

「……え?」

【木嶋七星】