「氷野」
「なに?」
「座れ」
「えっ…いい。高嶋が座って」
首を横に振って拒否したのは気を遣ってだろうか。
「いいから氷野が座れ。
その格好じゃ色々危ないから」
そこまで言えば本人は少し嬉しそうな雰囲気を放ちながら席へ座った。
「……ありがとう」
あー、何してんだ俺。
嫌われるつもりが逆に好感度を上げてしまった気がする。
まあふたりで立っておけばいい話だったのだが、氷野を見ているとそれができなかった。
普通にこんな格好をされたら困る。
「氷野って普段からそんな格好してんのか?」
気になったから聞いてみる。
見た目の割に純粋な部分のある人間だ。
危機感を持たずにそんな格好をしていたら、いつ狙われるかわからない。



