「す、すごいよな…颯斗って」
「何が?」

「氷野さんのこと呼び捨てしてるのって颯斗だけだぜ」
「同じ小学校だったからだろ」


そこに深い意味などない。
それを『すごい』と言われたところで何の得もないのだ。


「ひっ、またこっち見たぞ…!」
「いちいちうるせぇ、寝かせろ」

「俺、何かしたかなぁ」
「声が大きいんだろ、黙れば解決だ」


氷野が睨んだからどうした。
俺たちに害を与えるわけでもない。

それなのに怖がる良晴のほうが女々しいだろと思いつつ、残り少ない休み時間を睡眠へと使った。