断れる覚悟で言っているのだろう、その瞳は不安げに揺れていた。

そんな表情されて断れると思うか?


本気でどうしようかと悩んでいたその時、ふとある考えが思いついた。

なかなかのクズかもしれないが、デートでこそ嫌われるチャンスだと思ったのだ。


例えばだっさい服を着たり、バッティングセンターなどと言ったデートに程遠いプランを立てるとか。

むしろこれが氷野に嫌われる、最初で最後の最大チャンスだと思った。



「───わかった」

気づけば悩む時間を作ることなく俺はデートの誘いに頷いていた。