「まだ」
「手止まってる。どこわからない?」
いや氷野の変わりように驚いているだけだ。
何このオンとオフの切り替えの早さ。
ていうか同一人物かよって。
「大丈夫。
集中してぇから静かにしてほしい」
少し思い切って言ってみる。
もちろん突き放したつもりだが、氷野は素直に口をぎゅっと閉じた。
本当にただの天然なのだろうか。
氷野は俺に教えている身なのだから、もっと偉そうにしたらいいのに。
さすがの俺もそれ以上突き放すことはできず、落としく問題を解く。
チラチラと氷野や良晴からも視線を感じつつ、問題を解き終わることができた。



