「てことで今日の放課後、良晴も図書室な」

「まだ諦めてなかったのか…いや、うーんまあ…ちょっと気になってきたかも」


もう一度念を押せば、好感触である返事がきた。


「気になる?」
「颯斗が好きな氷野さんとやらを見てみたい」

「なるほど」


少し興味を持ってくれたようで、良晴も来てくれるらしい。

これで放課後のことは一安心だ。
きっと今日は何事もなく終わる。


そう甘い考えでいたのだが───


「……ここ、間違ってる」

まるで氷の塊を投げられているような、心に突き刺さるほど冷たい声が図書室に響いた。