「本気なの」
「気持ちは、その…嬉しいけど」

「今はまだ千智さんの代わりでもいいの」
「…っ、何で千智の名前まで」


千智は中学からの出会いだ。
つまり小学校は別々である。


「友達の友達が千智さんなの」


一瞬氷野にも心の許せる友達がいたのだと、失礼なことを思ってしまったのは黙っておこう。


「ふーん、それでか」
「うん。だから代わりでもいい」

「そんな悲しいこと言うなよ。
氷野が傷つくだけだろ」

「それでも私は高嶋の彼女になりたい」
「はい、一旦ストップな」


人差し指を自分の唇に当て、“静かに”のポーズをとる。
意外にも氷野は口を閉じて黙ってくれた。


「とりあえず落ち着こう。
そんな彼女になりたいだけ言われても俺は困る」

俺の話を冷静に聞き入れてくれたのか、彼女は数回頷いた。