「高嶋」
「…ん?悪い、また歩くの速かったな…」

「私はずっと彼女になりたかったの!」
「……は?」


まだきつく睨みつけてくるため、明らかに怒っているのだろう。

でも今の言葉が指す意味は───?


「キャラ変なんてしてない。ずっと高嶋に近づきたかった、もっと進展したい」

「ま、待て待て…場所考えろよ。
な?ほら、あとで聞くから」

「本当…?」


まさかだいぶ前の質問に今答えるとは思わなかった。

とりあえず氷野を落ち着かせようと声をかければ、意外とすぐに大人しくなってくれた。


だがこうなれば俺は約束通り、氷野の話を聞かなければならない。

この先どうなるのかと不安を抱きながらも、諦めてやってきた電車に乗り込んだ。