「いきなりキャラ変でもしたのか氷野」


落ち着け俺。
心臓の音が速まるのが自分でもわかる。

ここで乱されてしまえば氷野が有利に働いてしまうではないか。


「違う…ずっと」

「……あ!駅見えてきた。
電車来るかもしんねぇから急ぐぞ」

「待って高嶋…!」


氷野の手をさりげなく払う。
こうでもしないと駅に生徒がいれば誤解されるのみ。

幸い、今はまだ誰ともすれ違っていないため救われた。


速歩きで改札を通ってホームに行ったのだが、運悪く次の電車が来るまで5分ほどあった。

こうなればもう逃げ場はないわけで。


後から追いかけてきた氷野が冷たい目を俺に向け、睨みつけてきた。

思わずゾッとするほど彼女は怒っていたのだ。
これはもしや、もう嫌われ作戦が成功したかもしれない。


逆に何か罵倒されそうだなと思い、心の準備をしていると───