よし。
そうと決まれば即実行。
一度止めた足をまた速めるところから始めた。
だが氷野は必死でついて来ようとするめ、その姿が見える度に歩くスピードを緩めようとしてしまう意志の弱さに呆れてしまう。
が、ここは心を鬼にして───
「……っ!?」
どうやって嫌われようかと考え、明らかに油断していたその時。
突然氷野が俺の腕に絡みついてきた。
結構勢いがあったために、思わず足が止まる。
「すぐ歩くの速くなる」
今度はムスッと拗ねている様子。
ちょっと待て、落ち着け。
俺は氷野の無表情並びに照れた顔しか見たことがないぞ。
それなのに何だ今の表情は。
どういうことだ。
こんな拗ねた子供のような顔も隠し持っていたのか氷野は。