ピュアな彼女の甘すぎる素顔





「胸が苦しい」
「お、落ち着け…とりあえず。な?」

まるで自分に言い聞かせるように声をかけ、氷野の肩に手を置いた。


「高嶋はわかってない」
「もうそろそろ帰るか、外も結構暗くなってきてるし」


わざと話を逸らしてみるのだが、図書室の窓から見える空はまだ明るい。

これだと嘘がバレてしまう。


「……高嶋」

「ほら、早く帰る準備するぞ。
今日のお礼はまた今度奢らせてくれよな」

「どうして無視するの高嶋」
「無視なんてしてねぇよ。ただ帰る準備してるだけだ」


うまいこと躱せているだなんてまったく思ってないが、もはやこれしか方法がない。