「将来教師でも目指してんのか?」
「……教師?」
「こんなバカに教えたいとかっていうやつのほうが珍しいだろ」
「じゃあ私は珍しいうちのひとり」
「マジで言ってんの?」
「だって高嶋、ちゃんと説明すれば理解してくれるしバカじゃないよ」
まさかフォローされるとは思っておらず、目を丸くした。
俺の知らない、いや学校中の奴らが知らないであろう氷野の隠れた姿が見えてくる。
氷野の声、眼差し、表情こそ冷たいけれど。
やっぱり彼女の性格は冷たいとは程遠いようだ。
これを知らない奴らは誤解して、氷野を恐れている。



