「ううん、すっげぇ良いタイミングで来てくれたな」
「えっ…本当?」
「ああ。問題解こうとしたら1問目から躓いてて」
俺の話を聞きながらも鞄を隅へと置き、何のためらいもなく隣に座ってきた氷野。
「隣に座るのか?」
「こっちのほうが教えやすい」
「そっか」
まあ別に深い意味はないだろう。
氷野には付き合っている年上の男もいるみたいだし。
浮気と勘違いされないよう、クラスメイトの距離感を保てば良い話。
それよりも今は勉強が大ピンチである。
「1問目って…範囲の一番最初から?」
「結構やばいか?」
「ううん、今からなら大丈夫」
俺を見下し、バカにされるかと思いきや。
逆に励まされてしまう。



