もしかすると、勉強を教えると言ったことすら忘れているかもしれない。
まあ負担はかけずに済んだのだ、喜ぶべきだろう。
「颯斗?
何ぼーっとしてんだよ」
「別に、なんでも。
暑いなぁって」
「それさっき俺が言ったやつ。
同調しろよな」
くだらない話をして終える休み時間。
テスト1週間前に突入するまであと3日。
明日から2日間は休日で、どちらもバイトのシフトが入っている。
つまり勉強をしないまま1週間前に突入してしまうのだ。
さすがにやばいとは思いつつも教科書ひとつ開けない。
これだからいつまで経ってもバカなのだ。
「……うわっ」
「なんだよ、いきなり声あげて」
どうすれば勉強する気になれるかと本気で悩んでいたら、なぜか良晴が大きな声を上げた。
「こ、こっちに…」
「あ?」
「氷野さんが…」
馬鹿みたいに怯える良晴に呆れつつも、彼の視線を追ってみれば───



