だってあんなことを言われた今、どうすれば良いのかわからない。
普通に考えたら、あの言葉は俺に好意があるものと考えるだろう。
しかし相手は氷野だ。
冷たい美少女、一匹狼である氷野である。
今もクラスメイトと関わることなく自分の席に座っている。
何やらノートに書き込み、作業をしている彼女が何を考えているのかさっぱりだ。
今こそ超能力の力が欲しい。
そうすれば氷野の心が読めるのに、なんて。
もし万が一、いや億が一俺に好意があったとすれば。
もちろん応えられない。
千智を引きずる中途半端な人間なのだ、氷野に失礼である。
とはいえ好意があると決まったわけではないので、この考えは放棄することにした。
そもそもあれ以来会話がないのだ。



