「……じゃ、私の家行こう?」
かと思えばまだ諦める様子のない氷野。
今日はやけにグイグイと攻めてくる。
「あのな、男を簡単に家に誘うのはやめろ。
常識的に考えて危ないだろ?」
「……危なくていい」
「は?」
「颯斗、ともっと触れたい…」
慌てて顔を背けた。
このままでは堕ちる、目の前の彼女に。
「映画、そろそろ始まるな」
「……颯斗」
「どんな感じなんだろ」
「…無視、しないで」
俺の手をとり、優しく握ってくる氷野。
これも黒河が吹き込んだのか?
本当にお願いだからやめてほしい。
純粋さを利用するのは良くない。
「わかった、落ち着こう。
家でのデートは別の日にするのはどうだ?」
「…………」
てっきり頷いてくれると思ったのだが、黙ってしまう氷野。
さらに───



