「……どうするか」
「じゃあ、颯斗の家に行きたい…」
「は?」
俺の家?
少し頬を赤らめながら言った氷野を見て、確実に何か裏がありそうだと思った。
「その、家で…周りの目とか気にせずに、い、イチャイチャ…?したい」
「……っ」
こっちまで照れが移るからやめてほしい。
完全にしてやられた。
今から観る甘ったるい映画の後、家に行けばどうなるかなんて容易に想像できる。
理性で打ち勝てる自信などない。
「……俺の家、今日は無理だな」
本当は両親ともに出かけているのだが、嘘をつくことにする。
だが───
「そっ、か…」
すぐに落ち込んでしまう氷野。
こういう表情をされると、つい受け入れそうになってしまうからやめてほしい。



