俺に駆け寄ってきたかと思えば、勢いよく抱きつかれる。
この間は派手に露出していたが、今日は大人びた茶系のワンピースを着ており落ち着いた雰囲気だった。
「いきなり抱きつくなよ」
「嫌だ、颯斗とデートだから…!」
嬉しそうな声を上げ、俺に体を寄せてくる。
早速理性を飛ばしにかかる氷野を無理矢理引き剥がした。
「映画の時間、なくなるだろ」
「……うん、颯斗とデート!」
「何回言うんだよ」
「手、繋ごう?」
あー、ダメだこれは。
何を言おうが氷野のペースになるパターンだ。
結局恋人繋ぎで駅へ向かって歩き、映画館を目指す。
ちょうどお昼を過ぎた頃に到着した。
映画のチケットは午後2時の部を確保でき、先にご飯を食べることにした。