「あ、あの時?
あれ、普通じゃなかったの…?」

「当たり前だろ。普通なら嫌がるところだぞ」
「だって…颯斗、の行きたいところ…」

「全部嘘だから」
「そんなっ…」


結構ショックを受けている様子の氷野。
言われてから気づくなんて遅すぎる。


「だから明日、リベンジさせて氷野」
「……え」

「どこ行きたい?
氷野の行きたいところにしよう」

「私が、決めていいの?」


目をキラキラと輝かせて。
嬉しそうにする氷野に、迷わず頷いた。


「あのっ、私…恋人らしいことたくさんしたい」
「……は?」

「手を繋いだり、だ、抱きしめられたり…キスも、たくさん」

「待て待て、それはデートじゃねぇから」
「だから、それができるとこに行きたい」


ダメだ、俺の思っていたことと違う。

もっと水族館とか遊園地とか、特定の場所を答えてくれるものだと思っていた。