「高嶋…」
「ん？」
「颯斗って、呼んでいい？」
「……あ、そういえば」
今日の帰り際、不自然だった氷野を思い出した。
「なんでいきなり苗字呼びに変わったんだ？」
「……近づこうとすれば、離れていきそうで…好きって言ってくれないから、不安だったの…」
「だから距離を置こうって？」
「……っ、うん…」
「本当にバカだな」
それでいて、愛おしい。
「でも、好きって言ってくれた」
「……よくここまで好きでいてくれたな」
「うん、好きって気持ちは誰にも負けない」
自慢気に笑って、俺を見上げた氷野。
嬉しそうに頬を緩ませている。
「一度は嫌われようとしたのになぁ」
「えっ、うそ…」
「やっぱ気づいてなかったんだ？」
「わ、わからなかった…」
そこでネタバラシをしてみる。
あの酷いデート内容の時だ。
