「明日、出かけんのにそんな泣いてどうする」
「…っ、高嶋が気を遣ってる…」
「はぁ?本気でそれ言ってんの」
「だって、千智さんと…よりを戻すんでしょ?」
やっぱり誤解している。
それも、俺のとった選択とは真逆の捉え方だ。
「氷野は俺と千智がより戻してほしいんだ?」
「……っ」
氷野は少し黙った後、口を閉じたまま首を横に振った。
「ちゃんと言わねぇと」
なるべく優しい声をかけてやる。
すると緊張が解れたのか、ゆっくりと口を開いた。
「千智さんのところに、行って欲しくない。千智さんの代わりも嫌、ちゃんと私を見てほしいの…行かないで高嶋」
氷野の手が俺のシャツを強く握る。
目で強く訴えてくる彼女がかわいすぎて、また限界が迫る。



