「氷野、家はどの辺り?」
「……え」
仮にも俺が氷野の時間を食ったのだ、責任を持って家まで送ろうと思った。
だがその前に本人の意思を尊重したいため、とりあえず家を聞くことにした。
これで送ろうとする意思は伝わっただろう。
あとは氷野の反応次第だ。
そのため彼女をじっと見つめていると───
「送って、くれるの?」
また照れくさそうに頬を赤らめる氷野。
少し俯き加減でもわかるほど赤く染まっている。
どうしたのだろう。
もしかして熱でもあるのだろうか。
「顔赤いけど大丈夫か?」
「……っ、だ、大丈夫…家はこっち方面」
けれどすぐに顔を背け、前を歩く氷野。
どうやら熱ではないようだ。



