【今から会いたい】という、昔の俺なら複雑な感情を抱いていたかもしれないメッセージ。
「なんでこんなところいるんだよ」
「颯斗待ってたの、もうすぐ家まで行くところだった」
「ああ、わかったから泣くな」
「嫌だよ颯斗、あたしもう隆二とやってけない」
突然強くシャツを掴まれ、千智が抱きついてくる。
そのせいで懐かしい記憶が蘇った。
『どりゃー!』なんて男みたいな声を出しながら、抱きつかれることも多々あったものだ。
「ここで抱きつくな、場所考えろ」
「じゃあ家、行ってもいい?」
ふと俺を見上げる潤んだ千智の瞳。
一瞬、頭が真っ白になった。
氷野相手なら、ここで手を出していたことだろう。
だが目の前の相手は───
元カノである千智だ。
氷野ではない。



