「颯斗、デートしたい。
明日の休み、デートしよう?」
本人は無意識だろうが、切り替えの早さに俺は驚いている。
思わず手を伸ばし、氷野の頬を軽くつねったり引っ張ったりしたのだが。
「むー…はやと…?」
もう名前呼びに慣れた様子の氷野が、不思議そうな目をして見つめてきた。
明らかに俺への態度が他とは違う。
恋というものは人をこんなにも変えさせるのか。
「変なやつだな」
「えっ…」
「なんでもねぇ」
「…変な、やつ…」
なんでもねぇって言ったのに。
深く考え込んでしまう氷野。
「ほら、座れ。
授業始まる」
「……デートはしてくれる?」
「明日、空いてる」
「…っ、嬉しい」
すぐそうやって頬を赤らめて、嬉しそうに笑う。
いつのまにか感情表現が豊かになったようで、それはいいことなのだが俺的には困る。
この先我慢できるのかと不安を覚えつつも、席へと戻る彼女の後ろ姿を追った。



