「…ダメだ」 「何言ってるの! 氷野ちゃんがかわいくお願いしてるんだから!」 やっとの思いで拒否したというのに、いらない口を挟んでくる黒河。 こっちの身にもなれっての。 「……颯斗」 「…っ」 「決めた、私は颯斗って呼ぶ」 嬉しそうに笑いやがって。 今、余裕がないのは俺のようだ。 「氷野美雪ってこのクラスで合ってる?」 その時、突然教室全体に男の声が響き渡る。 見るとチャラいと噂の先輩がドアの前で立っていた。