「……もう帰る?」
「今日は疲れただろ?」
「…全然」
「嘘つけ」
腕を引いて無理矢理立たせてやる。
このままでは帰るタイミングを失ってしまう。
「……ねぇ高嶋?」
「ん?どうした?」
「次はいつ会える?」
なぜかまた不安気な表情をする氷野。
どうしてそんな顔をするのだろうかと思っていると。
「今日が夢で終わりそう…だから、怖い」
なんだ、そんなかわいい不安か。
少し俯く彼女が愛しい。
「夢じゃねぇよ」
「……うん」
「まあ、結構バイト入ってるからあれだけど…バイト前でも後でも会いに行く。それにもうすぐ学校だろ」
「夢でしたとか言わない?」
「言わねぇに決まってんだろ」
「じゃ、信じる」
何度も頷いて、頑張るぞと小さく呟いた氷野に思わず笑みが零れてしまった。