「そうだな」 「でも楽しかった、ありがとう」 「ああ」 なるべく、なるべく氷野のほうを見ないよう努力する。 公園に人がいてくれたらまだ自制できたかもしれないが、最悪なことにこの場には俺と氷野しかいない。 犬の散歩のコースじゃないのかと、わけもなく恨みたくなった。 そうでなければ─── 「来年も一緒に行きたいなぁ…」 無防備な姿は俺を悪い人間へと変えさせる。 今日は散々我慢してきたのだ。 なるべく優しく触れようと。 千智の時みたいに───