「ありがとう高嶋、すごく嬉しい」
なんで、素直に感情表現をするところもかわいいと思える要素しかない。
暗い表情は何処へやら、にこにこ笑顔に変わる氷野。
また帰りは満員電車だったのだが、それもへっちゃらという感じだった。
「高嶋、どこ行く?
公園…?」
「公園?なんで公園?」
「千智さんとよく行ってた場所、なんでしょ…?」
よくそんなこと覚えていたな。
自分で言っておきながら少しばかり落ち込んでいる様子。
別に目的地など決めていなかったが、互いに浴衣のため行ける場所は限られている。
「まあ、そうだな」
「うん…」
「じゃあ氷野が上書きしてくれんの?」
「上書き…」
「氷野とよく行く場所に変えるってこと」
「…っ、そうしたい」
素直なやつだなと思った。
ここまで真っ直ぐな想いをぶつけられて、心揺らがないほうがおかしい。



