けれど─── 「おい、食べねぇのか?」 「……いらない」 俯いたまま俺と目を合わせてくれない氷野は、子供のように拗ねてしまった。 「なんでそんな怒ってんだよ」 「怒ってない」 「なら俺の顔見ろよ」 「……っ、嫌だ」 駅までの道のりを歩く中で、氷野は一向に俺を見ようとしない。 だがその横顔は少し悲しそうにも見えたため、自分の中で仮説を立てた。 もしかして、まだ帰りたくなかったのだろうか。 それは祭りが好きだから? それとも───