それから少し早歩きで道を進んだところで、ようやく氷野が歩くスピードを緩めた。
「高嶋」
「……ん?」
「腕、組んでいい?」
「は?」
久しく見る、氷野の睨むような鋭い目つき。
これはこれで拒否などできない。
大人しく受け入れるなり、氷野は堂々と腕を組んできた。
それも先ほど千智が彼氏にしていたように。
「……ふはっ」
思わず笑ってしまった。
こんなところで対抗してどうする。
「高嶋…?」
「悪い、いやなんで氷野って…」
つい笑ってしまう。
いや、笑わずにはいられない。
ダメだ、もう。
目の前の彼女が愛おしすぎてたまらない。



