今の彼氏である隆二という男と腕を組み、仲よさそうに笑い合っている。 なんだかその様子を見て─── 「高嶋はどれにする?」 と、ここで氷野の声が聞こえたためハッと我に返る。 前を向いて彼女の後ろ姿を探せば、ぶどう飴の売っている屋台の前で立ち取っていた。 「あれ、高嶋…?」 「悪い、遅くなった」 幸いにも千智を見ていたことはバレておらず、安心した。 氷野を不安にさせてしまう可能性もあったからだ。 とりあえず何でもないフリをして、何を買おうか悩んでいたその時。