「ほら、早くふたりのところ戻るぞ」
「うん…」


トボトボと歩く氷野。

もし今の彼女を黒河と良晴が見たら何か言われそうだなと思いつつ、ふたりと別れた場所に戻ったのだが───



「来ねぇ…」

黒河も良晴も来る気配がない。
なんとなく嫌な予感がするのは気のせいだろうか。


とりあえずこのまま待っていても焼きそばが冷めてしまうため、氷野の前に差し出した。


「先食べとくか」
「うん…!」


ふたつ貰った割り箸のうち、ひとつを氷野に渡す。

それを受け取った彼女は割り箸をふたつに割って、焼きそばを口にした。