「……教えてあげてもいいよ」
「は?」
「勉強。
自分でしないならそれしか方法ないでしょ」
確かにそうだが、氷野に何の利益もないだろうに。
突然そんなことを言いだすものだから頭が追いつかなくなるばかり。
「氷野に負担がかかるだけだからいい」
「学年最下位になって留年するよ」
「リアルなこと言うなよ」
「事実でしょ」
優しいのか厳しいのかわからない。
今だって感情の読めない瞳が俺を捉えていた。
「留年なんてするかよ」
「2年で最初のテスト、どうだったの」
思わずギクリとした。
1週間前に行われた定期テストの結果が最悪だったからだ。
最下位ではなかったのだが、ワースト3位という有様で。
あんなバカ騒ぎする良晴でさえ順位が二桁なのだから自分の雑魚さに呆れてしまう。
それで担任にも結構本気で心配されているところだ。
まだ休まず学校に来ていることだけが唯一の救いだろうか。



