「氷野?」
「……帰らないで」
別に帰るつもりはなかったのだが、氷野の兄の言葉により不安になったようだ。
「お前が望むなら帰らねぇよ」
「…うん、良かった…」
嬉しそうに笑う氷野に胸が高鳴る。
本当にかわいいやつ。
熱で弱った彼女はいつもより何倍も甘えたがりになっている。
「待て待て、とりあえずお前は一旦邪魔だ。
今から美雪の食事が始まるんだ、部屋から出ていけ」
俺を睨む氷野の兄はお盆を持ち直し、氷野のベッドまでやってきた。
「ほら美雪、お兄ちゃんが食べさせてあげるからな」
「…高嶋じゃ、ないの?」
「は?」
悲しそうな表情をする氷野。
いくら熱とはいえ、変わりすぎである。



