勢いで唇を奪った前とは違う。
何かに引き寄せられるように、ゆっくり氷野との距離を詰めていく。
「高嶋、あの…」
「口閉じろ」
「……へ」
困惑する氷野の姿がかわいくて、もう引き返せないと思った。
いつのまにか俺の心に入り込んでいた氷野。
気づけば彼女でいっぱいになっていた。
夏休みに入ってからも、考えてしまうのは千智ではなく氷野のことで。
ほぼ無意識のうちだったのか、その事実を自覚していなかった。
あたふたする氷野が焦れったくて、むしろ焦らされているような気がして。
逆に急かしたくなる。
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