「嫌だ」
「なんでだよ」
「寝たら…高嶋がいなくなる」
「いなくならねぇよ」
「だから寝ない!」
まるで意地になった幼い子供だ。
さらには俺の胸元に顔を埋めてきた。
「バカ、寝ろ」
「…私が起きてちゃ嫌…?」
熱のせいか、情緒が不安定である氷野。
一瞬にして不安げな表情へと変わる。
「高嶋…」
甘い声。
赤みを帯びた頬。
俺を見つめる真っ直ぐな瞳。
揺るがない想い。
理性が飛ぶのは簡単だ。
あの日は正直、千智と氷野を重ねてしまった。
だが今は───
この瞳に映っている氷野しか見えていない。
それは心も同様だ。



