「大丈夫じゃねぇだろ」
そんな氷野を見てようやく口を開くが、彼女は黙ってしまった。
声を聞いただけでも嫌になったのだろうか。
そう内心焦っていると───
「……ふふっ、おかしいな。
お兄の声が高嶋に聞こえたや」
「……っ」
苦しそうな表情から一転、嬉しそうに頬を緩ませた氷野。
まだ入ってきた人物を確認しない彼女は、本気で俺のことを兄と思っているらしい。
「元気かな、高嶋…苦しんでないかな…?ねぇお兄、どうしたら高嶋のこと元気付けられると思う?」
か弱いながらも、その声には温かさが含まれていて。
胸が締め付けられる。
氷野はまだ俺のことを考えてくれているのか。



