少し緊張しながらも、まずはドアをノックする。
それからゆっくりとドアを開けて中に入った。
部屋は明かりが消えており、昼間だというのに薄暗い。
そしてベッドで横になる氷野の姿があった。
「……お兄?」
掠れた弱い声。
熱で弱りきっているのがわかる。
「もう体調楽になったから私のこと放っておいて大丈夫だよ…」
恐らく嘘だろう。
起き上がるのも辛いのか、横になったままである。
それなのに言葉で強がるのは氷野の悪いところだ。
もっと他人に甘えればいいのに、なんて俺が言う資格などないが。
その時氷野が咳をした。
苦しそうで、額には熱を冷ますシートが貼られている。



