「……あ」
氷野が小さな声を上げる。
きっと千智の顔を知っているのだろう。
正直氷野と関わりが増える度、未練というものは薄れていると思っていた。
だが───
「本当に隆二ってひど…」
千智が俺たちの存在に気づいた。
完全に目が合ったのだ。
思わず息をするのも忘れ、頭の中が真っ白になった。
「……颯斗?」
俺と氷野を交互に見る。
当たり前だ、隣には誰もが認める美少女の氷野がいるのだから。
隆二と呼ばれた男に至っては、氷野を凝視している。
「えっ…颯斗だよね!?
嘘!久しぶり!」
まるで感動の再会とでも言いたげな表情で、彼氏を置いて俺の元へと駆け寄ってきた。
今更話すことなんてない。
そう思っていたが、千智は俺に笑いかける。



