「…どうした?」
「あの…」
何かを言いたそうにしているが、俯いて黙ってしまう氷野。
急かすことなく待っていると、また口を開いた。
「……スマホ」
「スマホ?」
「ポケットから出てる」
そう言われて確認すると、氷野の言った通りポケットから半分見えていて。
危ない、もう少しで落とすところだった。
「あっ…!」
慌ててポケットの奥に押し込んだのだが、氷野が声を上げたため動きを止める。
「……氷野?」
「待って、あの…」
焦った様子の氷野はスカートのポケットに手を入れ、自分のスマホを取り出した。
その姿を見て氷野が何を伝えたいのかわかったのだが、あえて言わない俺も俺だろうか。



