このまま奪ってやろうか。
なんて思う中で、ここが学校であるという事実だけが俺の理性を保っていた。
本当に目の前の彼女は───
「…かわいいやつ」
「……っ!?」
そう思わずにはいられない。
ギリギリを保つ理性の中で教室に戻る選択を取った俺。
先を歩けばのそのそと後ろをついてくる氷野の姿があった。
その頬はまだ赤く染まり、落ち着かせようと手で顔を仰いでいる。
もしここでまた触れようものなら、きっと彼女は今以上に恥ずかしがることだろう。
まあそんなことはしないが。
してみたいと思う気持ちはかき消すことにする。



