先ほど男を囲っていた女子生徒が付いてくる気配はなく、駅とは反対方向の道を歩き出した。
「ごめんね、いきなり」
「いや、大丈夫です」
謝る前に名乗りはしないのか。
俺は仮にも相手を知らないのだ。
「まさかあそこまで女の子に絡まれるとは思ってなくて」
「イケメンも大変なんですね」
「君も十分かっこいいと思うけど。
まあかろうじて許容範囲だね」
「はい?」
「いや、なんでもないよ」
なんでもないって、今明らかに何か引っかかるようなことを言った気がする。
ただ聞き取れなかったのも事実であるため、忘れようと思った。



