すると氷野は机に鞄を置いて、ストラップをじっと眺めているではないか。
冷たいはずの氷野だが、今は温かな雰囲気を纏っているような気がする。
「なんか氷野さんの雰囲気が柔らかくなってる…今なら話しかけられるかも」
「バッ…余計なことすんなよ黒河」
「嫌だねー!」
「おい待っ…」
「諦めろ颯斗くんよ」
まだ止めようとしたのだが、今度は俺が良晴に止められてしまう。
「彩乃の性格は中学の時から知ってるだろ?
こうと決めれば折れることはないんだ」
「…っ、良晴って本当にクソだよな」
「まあまあ逆ギレしない」
俺をなだめようとしてくる辺り逆に腹が立つ。
そう思いながらも氷野に視線を向ければ、本当に黒河が彼女と話していた。



