「美味しい、これ…」


初めて食べたような感想を言いながら、アイスを食べ進める氷野。

冷たいと言われている氷野だが、今は温かい空気が彼女を纏っていた。


今の氷野を見れば、きっと多くの人たちが寄ってくることだろうに。

彼女は本当に損している。


「そうやって感情を表に出せばいいのに」
「……え」

「冷たい無表情なんかよりよっぽどいいと思うけど」


感情が表に出ないってわけでもなさそうだ。