何も考えていなかったが、氷野はそれを意識していたらしい。

未だに恥ずかしそうにする氷野。
見た目とのギャップが大きく、心をくすぐられる。


「あっ、大丈夫…高嶋は意識してないってわかってるから……」

「悪い、意識してなかった」
「……うん」


素直に頷けば、氷野は少し落ち込んでしまう。
なんとなく想像できたその表情がついかわいいと思ってしまい。


「だからお詫びしねぇとな」
「お詫び…」

「何がいい?」


頬が緩みそうになるのを堪え、彼女に聞く。
すると───


「アイス、食べたい」

これまたかわいい返答に胸が疼く。
こいつは男がグッとくるポイントを知っているのだろうか。


「わかった、アイスな」

さすがに今日、デートらしいデートをしてやれなかったため、最後くらいデートらしく締めようと思った。


それにこれ以上頑張ったって、好感度は上がるばかり。

また別の対策を練らなければならない。